11月27日 第4回定例会

◆委員(井上ノエミ君)
まず、都区制度の改革について、特に児童相談所の移管について、山本区長にお伺いします。

この問題については、6月の定例会でもお伺いしました。山本区長も積極的に取り組んでいただけるとのご答弁でした。児童相談所の特別区の移管モデルでは、社会的な養護が必要な子どもたちは、里親などの家庭、グループホーム、そして養護施設に預けられますが、その割合をそれぞれ3分の1ずつにすることを目標にしています。現在は里親で育つ子どもは1割程度ですから、この目標は国の目標と同じで大変よいと思います。ただ、私は少なくとも3歳以下の乳幼児は全員を家庭的な環境で育てることを目標とするべきと思います。6月の定例会でも赤ちゃんの80%が乳児院に送られる現状について申し上げました。2009年の国連のガイドラインでも、3歳未満の子どもは家庭的な環境で育てるべきとしています。

今回の特別区のモデルであっても、子どもたちにとっては決して望ましい環境ではありません。子どもたちの人権を守る墨田区として、23区に先駆けて、まず乳幼児の家庭的養護の実現を目標に掲げて、その実現に向けて努力するべきと思います。山本区長のお考えをお伺いします。

また、児童虐待を防ぐためにも、赤ちゃんの特別養子縁組をもっと積極的に推進すべきと思います。例えば、子どもをゼロ歳から18歳まで養護施設で育てると、1人1億2,000万円掛かります。東京都では、乳児院にいる赤ちゃん1人に年間680万円の税金を使っています。児童養護施設では、年間580万円掛かっています。特別養子縁組をすれば、子どもたちに家庭的な環境を与えることができる上に、税金の大きな節約にもなります。

墨田区としても是非特別養子縁組を支援していただきたいと思いますが、山本区長のご見解をお伺いします。

次に、墨田区の施設利用に関する他区との連携について山本区長にお伺いします。

私は錦糸町に行くと、いつも思うことがあります。錦糸町は江東区の区民にとっても最も大きな駅で、多くの方が利用しています。しかし、錦糸町にある施設は全て墨田区の施設です。私は江東区民にとっても、江東区の施設が錦糸町にあればもっと便利だと思います。例えば、すみだ産業会館は、将来的に墨田区と江東区の共同利用できるような施設にしてはどうでしょうか。すみだ北斎美術館も台東区や江東区から多くの方が来ていただけるようにしてはどうでしょうか。もちろん、制度をどうするかの問題はありますが、少しずつ連携を深める方向でやってみてはいかがでしょうか。山本区長のご見解をお伺いします。

次に、安全で安心なまちの実現について、山本区長にお伺いします。

6月の定例会でも質問しましたが、私の住んでいるマンションの角の交差点では、半年に1回は交通事故が起こっています。ここは外手小学校と二葉小学校の通学路ですので、住民の方も大変心配しています。死亡事故が起こる前にまず対策をとる、そのような区政を山本区長に実現していただきたいとお願いしました。残念ながらこれまで全く区のほうからは動きが見えません。このような信号のない交差点の事故対策は、大変難しいと思います。警察庁にも両方を一時停止にできないか聞きましたが、できないとの返事でした。しかし、いつ死亡事故が発生するか分かりませんから、もっと真剣に取り組んでもらいたいと思います。

6月の定例会でも取り上げている、また、住民の方からも墨田区に陳情が出ているのに、担当者が全く対策をとらないのは大きな問題だと思います。墨田区の職員には、まず区民の生命を守るという意識を持って、真剣に働いてもらいたいと思います。また、山本区長には、現在のような職員の意識を変えて、職員一人ひとりが区民の命を守るために真剣に仕事に取り組むような意識改革を是非やっていただきたいと思いますが、山本区長の見解をお伺いします。

次に、観光振興に関して山本区長にお伺いします。

今、銀座などでは中国人が「爆買い」をしています。墨田区にもたくさん中国人が来て爆買いをして地元の経済を豊かにしてもらいたいと思います。そこで、特に観光バスの駐車場に関してお伺いします。

東京スカイツリーのホームページには、観光バスの駐車時間は昼間が2時間で、午後6時以降が3時間となっています。中国人の観光客が来ても、2時間ではスカイツリーに上ってすぐ帰ってしまいます。「すみだまち処」で爆買いしてもらう時間がありません。東京ソラマチには多くのお店がありますから、ショッピングにはとてもいい場所だと思います。ソラマチでショッピングする団体には、駐車時間を昼間も3時間にしてもらうべきだと思います。是非、山本区長には東武と交渉していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

また、すみだまち処の割引券を出して、中国人に来てもらうことも考えるべきだと思います。本当に観光振興を真剣に考えて、観光客に地元にお金を落としてもらうためには、観光バスの駐車場が必要です。隅田公園駐車場も大型はわずか5台しか駐車できないし、それも午後6時半までです。これでは両国でちゃんこ鍋を食べることもできません。追加料金を払えば夜もとめられるそうですが、墨田区のレストランで食事してくれる団体客には、逆に割引料金にするべきです。このままでは、団体客はスカイツリーに来てそのまま帰ってしまい、地元には全くお金が落ちません。本当に真剣にこの問題に取り組むべきと考えますが、山本区長のご答弁をお願いします。

次に、学校教育について加藤教育長にお伺いします。

現在の学校教育の問題では、何といってもいじめ問題が大きいと思います。是非墨田区の学校からいじめをなくしていただきたいと思います。

実は、墨田区の小学校でいじめのない学校があります。それは錦糸小学校です。その理由は、外国人の児童が約40%と大変多いので、子どもたちがお互いの違いを認め合うことを自然と学ぶようです。私はこの話をPTA会長さんから伺いました。とても感動しました。教育委員会としても、なぜ錦糸小学校ではいじめが起こらないのか、よく研究していただいて、他の学校の参考にしていただきたいと思いますが、教育長としてどのようにお考えになりますか。ご見解をお伺いします。

次に、今の子どもたちが社会に出る10年後、20年後の日本を考えると、学校でのICT教育と英語教育が大変重要になると思います。残念ながら日本の学校では、この重要な分野が外国に比べて大変遅れています。小学校での英語教育も始まりましたが、是非ICT教育や英語教育の指導法が適切であるか、効果を上げているか、評価していただきたいと思います。

学校で評価というと、すぐに子どもたちの評価の話になりますが、私がお願いしているのは指導方法の評価で、子どもの評価とは全く違います。特に英語教育に関しては、ネイティブの教師がいてもほとんど効果がないという話も聞いています。多くの税金を使っているわけですから、是非指導法の評価を真剣に行い、効果の上がる教育を行っていただきたいと思いますが、加藤教育長のご見解をお伺いします。

次に、小学校における制服の導入に関して、加藤教育長にお伺いします。

中和小学校では来年の春から全員に制服が導入されると聞いています。制服は値段が高いです。また、夏服と冬服の両方が必要です。量販店では子ども服は安く売られていますから、制服は家庭の経済的な負担を増やします。今、墨田区には、子どもを学校に送るために一生懸命に働いている家庭も多いのです。今回の定例会でも、同僚議員の方々が児童の貧困について心配して、議論しています。山本区長も区政において、その対策をやる必要があるとお考えです。今、教育委員会がまず考えなければならないことは、どうやって家庭の負担を減らすかということです。負担を増やすような制服の導入などは理解に苦しみます。

中和小学校は学校の差別化をしたいとのことです。しかし、教育の内容を充実することで学校の差別化を図るべきです。いじめをなくしたり、英語教育を充実すれば、多くの家庭が子どもをそんな学校に送りたいと思うでしょう。墨田区の学校には、教育内容を充実することに真剣に取り組んでいただきたいと思います。

今回も、お金が掛かるから制服は反対と思っても、大きな声では言えない家庭も多いのです。教育委員会や学校関係者はそのような家庭があることを分かっているのでしょうか。一体、教育委員会はどのような指導をしているのか、加藤教育長にお伺いします。

次に、障害者支援について山本区長にお伺いします。

先日、墨田区の肢体不自由児者父母の会の方々が区役所にお越しになりました。肢体不自由児者のお子さんの面倒を見ていられる親御さんも高齢化してきて、お子さんたちの将来を大変心配されています。特に重度の肢体不自由の方のためのグループホームが必要です。重い障害を持った方の生活は、区民全体で支えていく必要があると思います。第4期の墨田区障害福祉計画には、グループホームの整備は入っていますので、是非早期の実現をお願いしたいと思いますが、山本区長のご見解をお伺いします。

また、通いの訓練施設である「のぞみの家」は定員を増やさないと対応できない状況です。また、施設も老朽化しています。来年の予算委員会でも取り上げたいと思いますが、来年度の予算で適切な対応をお願いしたいと思います。

また、平成30年度に建設を計画している新しい生活介護訓練施設に関しては、利用者の方々と十分に相談して内容を決めていただきたいと思いますが、山本区長のご見解をお伺いします。

また、肢体不自由な方が入れる入浴施設の整備も必要と思います。民間の施設を利用できるように、無料の利用クーポンを提供するとか、現在ある入浴施設を利用できるようにするなど、いろいろな解決策もあると思いますので、是非知恵を出していただくことをお願いします。

最後に、認知症対策についてお伺いします。

先日の墨田区の広報紙で認知症について大きく取り上げましたが、高齢化社会になって認知症は大きな問題だと思います。特に認知症を抱えているご家庭では、火事を大変心配されています。6月の定例会で火災警報器の整備について質問しました。その後、認知症のいる家庭から毎日火事を大変心配しているとの連絡がありました。認知症のいる家庭の火災警報器の設置及び東京消防庁へ直接連絡の行く専用通報機の設置については、実績はどの程度か、山本区長にお伺いします。

これで私の質問を終わります。ありがとうございます。

〔区長 山本亨君登壇〕

 

 ◎ 区長(山本亨君) 新しいすみだ、井上議員の質問にお答えします。

まず、児童相談所の移管については、第2回定例会で東京都と特別区の協議状況についてご報告させていただきました。現在、課長級メンバーによる部会を設け、協議しているところです。東京都とは、社会的養護推進計画も含め、特別区が一体となって児童相談所の事務を引き受けるという枠組みで協議しているため、現段階で区独自で目標を立てることは困難です。

また、特別養子縁組の支援については、円滑な移管後の検討課題の一つとさせていただきます。

次に、施設利用に関する他区との連携についてです。

ご提案のように対策との相互利用や共有化などができれば、双方の区民の利便性が向上し、施設の維持管理コストなどの削減といった効果も見込まれますので、今後の研究課題とさせていただきます。

次に、安全安心なまちの実現についてです。

ご指摘のあった交差点の安全対策については、以前から外手小学校PTAと地元町会による「スクールゾーン自主推進地区対策連絡会」で通学路の安全点検を重ねてきました。併せて、本所警察とも連携して、「とまれ」標識の増設、滑り止め舗装、車線減少標示、立て看板の設置等の安全対策や視認性を確保するために交差点付近の樹木の撤去も行ったところです。今後も引き続き警察署と連携し、安全対策を実施していきます。

私は区民の命の尊さに対する職員の意識が決して希薄であるとは思いませんが、安全・安心なまちづくりなど、すみだの“夢”実現に向けて、全庁一丸となって時代の要請に応えられるよう、さまざまな意識改革を図っていきます。

次に、観光バスの駐車場についてです。

議員ご指摘のとおり、観光バスの駐車場が増えて観光客の滞在時間が長くなることは、区内の観光振興につながるものと考えています。スカイツリーには、場外も含めて50台を超える台数の駐車が可能となっており、区でも隅田公園に駐車場を設け、収容台数5台を超えた場合でも対応を可能としております。また、区から東武に呼び掛けたことにより、スカイツリーでは場外駐車場の台数の増加と時間延長も検討していると聞いています。隅田公園駐車場の割引等のご提案も含め、引き続き民間事業者と連携して、観光バス対策を検討していきます。

次に、障害者支援についてです。

重度肢体不自由児のグループホーム整備については、既定計画に沿って、平成32年度までに民間事業者等を誘導の上、整備を支援していきます。今後、用地を確保し、早期の実現を目指します。

亀沢のぞみの家の生活介護施設は、現在、定員を超える状況ですが、すみだステップハウスおおぞらでは受入れが可能です。また、施設の老朽化への対応は計画的に行っていきます。新たな生活介護施設は、今後関係機関のご意見を伺いながら、民間事業者による整備を支援していきます。

なお、整備の際には入浴サービスの実施を検討します。

次に、火災警報器及び専用通報機の設置状況についてです。

認知症の方がいる家庭への住宅用火災報知機の設置状況については、現在、区は把握しておらず、また、東京消防庁でも把握はしていないと聞いています。この警報器や東京消防庁への専用通報機を含む火災安全システムは、火災予防に効果があり重要な設備ですので、本所・向島消防署と連携しながら、一層の啓発に努めていきます。

以上で、新しいすみだ、井上議員の質問に対する私の答弁を終わります。

〔教育長 加藤裕之君登壇〕

 

 ◎ 教育長(加藤裕之君) 新しいすみだ、井上議員の学校教育に関するご質問に、順次お答えします。

最初のご質問はいじめ対策についてです。

いじめは社会性を身に付ける途上にある児童・生徒が集団で活動する場合、しばしば発生するものであり、どの学校においてもいじめが認知されるものと認識しております。それは、子どもたちは成長過程で言い過ぎてしまい相手を傷付けたり、自分勝手な行動で反感を買ったりするなどさまざまな失敗を経験しますが、その中にはいじめに該当するものもしばしば含まれるものと考えるからです。

初期段階のいじめは子どもたちだけで解決に至ることも多くあり、大人が適切に関わりながら自分たちで解決する力を身に付けさせることも大切であり、学校が組織として把握し、見守り、必要に応じてお互いに認め合うことなどを指導し、解決につなげていくことも重要です。

教育委員会としては、いじめの発見者になり得る学級担任の対応の方法などをリーフレットにして啓発を図っているところであり、いじめはどこの学校でも起こり得るが、初期対応が最も大切であることを含め、引き続き指導、助言を行ってまいります。

次に、ICT教育や英語教育における指導法の強化についてです。

ICT教育については、教員に対する機器の導入を中心に整備を進めているところであり、現在は十分に使いこなせることや効果的な活用方法などについて、設置している学校で取り組んでいるところです。その検証については、公開授業を実施し、指導技術や方法などについて意見交換などを行い、精度を高めているところです。

ネイティブティーチャーに対する評価は、教員によるアンケートなどによって行っております。その結果からは、「授業を通して意欲を引き出している」、「学校の求めている授業を行った」、「子どもがネイティブティーチャーの授業を楽しみにしている」などといった項目で肯定的回答が80%以上となっております。また、これまで小学校での英語活動を行ってきたことにより、英語のコミュニケーションを図ることが、以前よりもためらいなく行える生徒が増えたと中学校の教員が実感しております。

今後とも評価項目などを十分吟味し、適切な指導を推進するとともに、ICTや英語教育の充実に努めてまいります。

次に、中和小学校の標準服の導入についてです。

このことは歴代のPTA会長の皆様を中心にご提案があり、学校運営連絡協議会をはじめ地域等の話合いなどを経て、140周年記念事業の一環として標準服の導入に向けて取り組んでおります。導入の背景には、地域とともに歩む学校として、また、学校の誇りの表現として、笑顔いっぱいに登校する児童の姿として、標準服を取り入れたものであり、学校としても礼儀正しさ、姿勢のよさ、人を思いやる心、真面目な態度、学習への真摯な態度などのシンボルの一つと考え、学校が導入を決定したところです。

平成28年度から標準服が導入されることを学校から新1年生の保護者に説明するとともに、在籍している児童については、強制されるものではないこと等を配慮したところであり、地域の協力もいただきながらの導入です。教育委員会としても華美にならないように指導してまいりますので、ご理解のほどお願いいたします。

以上で、新しいすみだ、井上議員のご質問に対する答弁を終わります。

 

○ 議長(樋口敏郎君) 以上で一般質問は終了いたしました。